慶大、ヒトiPS細胞由来神経幹細胞を用いて脊髄損傷マウスの運動機能を回復
その結果、hiPS-OPC-enriched NS/PCsが多くの神経栄養因子を分泌していることを確認。移植後12週のマウス脊髄内で、移植細胞はニューロン、アストロサイトに加え、成熟オリゴデンドロサイトに分化していた。さらに従来のヒトiPS細胞由来神経幹細胞の移植では見られなかった所見として、移植細胞由来オリゴデンドロサイトが残存軸索を再髄鞘化していた。また、移植細胞由来ニューロンは、ホストマウスのニューロンとシナプスを形成していた。
その後、hiPS-OPC-enriched NS/PCsを移植したマウスの後肢運動機能評価を行った結果、明らかな運動機能の改善が認められた。また、電気生理学的評価として、運動誘発電位を計測したところ、明らかな改善が認められたことから、移植細胞由来のニューロンやオリゴデンドロサイトが、神経回路の再構築や神経伝達速度の回復に寄与していることが示唆された。
脊髄損傷に対しては、従来の細胞移植でも有意な運動機能の回復が認められていたが、今回の成果によってさらなる機能回復を望める可能性が示されたことになる。