欧州の「アリアン5」ロケット、70機連続打ち上げ成功を達成
を改良して造られたロケットであり、次第に性能が時代に追いつけなくなってきた。
アリアン5の検討は1984年から始まったが、当時は米国がスペースシャトルを打ち上げ始めたころでもあり、欧州でも小型のスペースシャトル「エルメス」の検討が始まっていた。そこでアリアン5には、エルメスを打ち上げられるほどの、強力な打ち上げ能力をもつことが求められた。
だが、エルメスは開発が進む中で肥大化し、質量が目標を大きく超過するようになった。それに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされ、さらにエルメスの質量が増加すると、またそれに合わせてアリアン5の打ち上げ能力も増やされるという悪循環に陥った。結局、最終的にエルメスは開発が中止され、欧州の手元には過大な打ち上げ能力をもったアリアン5ロケットだけが残ることになった。
だが、この過大な能力を生かして、1機のロケットで静止衛星を2機同時に打ち上げれば、1機のロケットで1機の衛星を打ち上げるよりもコストが安くなるのではとの発想が生み出された。
そしてそのアイディアは的中し、アリアン5は現在、静止衛星の商業打ち上げ市場の約半分のシェアを握っている。
現在も多くの受注を抱えており、今年だけでも8機のアリアン5の打ち上げが予定されている。