くらし情報『東北大など、質量のないディラック電子の流れを制御できる磁石を発見』

2016年2月1日 16:21

東北大など、質量のないディラック電子の流れを制御できる磁石を発見

そのためには、ディラック電子による高い伝導性と磁場に対する高い応答性を併せもった新しい磁性体を開拓する必要があるが、このような物質は極めてまれであるため、固体中の磁性とディラック電子の伝導性との相関は未解明な点が多く、現在スピントロニクスの分野における重要な問題のひとつとなっている。

今回、同研究グループは、比較的融点の低い融剤(フラックス)に、合成したい化合物の原料を溶かしこみ、過飽和の条件で析出させて単結晶を得る「フラックス合成法」を高真空中で行うことにより、ディラック電子と磁石の性質が共存すると予想される高品質単結晶の層状物質(EuMnBi2)の合成に成功。同物質は、ディラック電子状態を担うビスマス層と、磁石の性質を担うユーロピウムなどからなるブロック層が積層したハイブリッド構造を特徴としている。

また今回の研究では、この物質においてディラック電子と磁気状態が互いに強く結びついていることを実証するために、東京大学 物性研究所附属 国際超強磁場科学研究施設、および東北大 金属材料研究所 強磁場超伝導材料研究センターにおいて、約30~60テスラの強磁場中で電気抵抗測定を行った。さらに磁気状態の解明に向け、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 フォトンファクトリーにおいて、放射光エックス線の磁気散乱実験を行った。

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