H-IIAロケット30号機現地取材 - 日本の宇宙開発にとっては未踏の「30号機」、次世代のH3にどう繋げるか
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(MHI)は2月17日、X線天文衛星「ASTRO-H」を搭載したH-IIAロケット30号機の打ち上げを実施した。衛星は無事に分離し、既報のように、「ひとみ」と名付けられた。同日、打ち上げ後の記者会見が開催されたので、本レポートではその内容についてまとめてみたい。
「ひとみ」(ASTRO-H)は、「はくちょう」(CORSA-b)、「てんま」(ASTRO-B)、「ぎんが」(ASTRO-C)、「あすか」(ASTRO-D)、「すざく」(ASTRO-EII)に続く日本の6機目のX線天文衛星である。観測性能が大幅に向上しており、銀河団やブラックホールなどを調べることで、宇宙の成り立ちの解明や、極限状態での物理法則の検証に挑む。
現時点で、衛星の状態は正常。ロケットから分離後、太陽電池パドルの展開がすでに確認されており、順調に運用が行われている。今後は、3軸姿勢制御の確立、観測装置の立ち上げ、伸展ベンチの展開などを行っていく予定だ。
なお投入軌道については、翌18日に発表があり、ほぼ計画通りの高度、傾斜角、周期であることが明らかになっている。
JAXAの高橋忠幸・ASTRO-Hプロジェクトマネージャは、「長い年月をかけて作ってきたので感慨深いものがあるが、衛星はこれからが大変。