2016年3月2日 09:00
カーエレクトロニクスの進化と未来 (85) 車内での音声認識を確実にするNuanceの騒音抑制技術
スマホなどでは2個のマイクで音を拾い、一方の音の位相を180度反転させることで雑音を打ち消し合う方法があるが、クルマの中ではさまざまなノイズがあるため、あまり有効ではなさそうだ。
Nuanceの技術「SSE(Speech Signal Enhancement)」はマイク1個だけで対応し、アルゴリズムを考案してノイズを削減する。だからハードウェアとしてのマイクは1個で十分。しかもある程度の音量なら音楽がかかっていても、あるいはたくさんの人が乗って話をしていても、ノイズを押さえられるという優れモノだ。クルマの中での人間の音は、車内の壁に反射して時間的に少しずれてマイクに入る訳だが、あらかじめどのような反射モードが跳ね返ってくるのかを求めておき、その反響音パターンを打ち消すようなアルゴリズムや、音声ガイダンスと音楽が重なる場合を想定してそのパターンを抑制し、ドライバーの声だけを強調するようなアルゴリズムを使っているようだ。
さらには、定常的に大きな騒音を抑制すると共に、突出したような非定常的な騒音、クルマでの風切り音、凹凸のある道を想定した非定常ノイズなど、いろいろな場面でのノイズを抑制するアルゴリズムを使っている。