2016年3月16日 11:28
生薬甘草成分に内臓脂肪の炎症抑制効果 - メタボ治療薬開発へ期待
正常な場合、免疫細胞が脂肪細胞の恒常性を保ち、炎症を抑制していることも明らかになっているという。
一方で、肥満化が進むとマクロファージなどの炎症細胞が内臓脂肪に集まり、脂肪細胞との相互作用で慢性的な炎症反応が生じる。また、マクロファージは内臓脂肪の「線維化」(組織が傷ついた際に治癒のために結合織が増殖する生体反応。過剰な結合織の増殖は正常の組織を破壊し、臓器不全を起こす)を引きおこし、脂肪細胞の機能を妨げることもわかっているとのこと。このような内臓脂肪の慢性炎症と線維化が引き金となって、全身性のインスリン抵抗性が生じ、糖尿病の発症リスクが高まるとされている。
研究グループは、これまでに生薬である甘草に含まれるILGがマクロファージにおいて、炎症の鍵分子となる「NLRP3インフラマソーム」と呼ばれる細胞内たんぱく質複合体の活性化を阻害し、マウスのメタボリックシンドロームを改善させることを報告している。ただ、ILGの脂肪細胞への薬理作用や線維化に対する有用性は不明だった。
そこで今回、ILGの効果を検討したところ、ILGはマクロファージから産生される「炎症性サイトカイン」(血液細胞などの増殖や分化を調節するたんぱく質性の生理活性物質の総称)