PS VRに見る「VRに求められる厳しい条件」 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
しかもここから、VR用のヘッドマウントディスプレイ (HMD) に映像が表示されるまでの遅延と、モーションセンサーなどでHMDの位置を把握して補正する時間も加味される。現状のハイエンドVR機器はすべて有線で接続されているが、1ミリ秒、2ミリ秒を稼いで酔いを抑えようと努力する世界では、5ミリ秒単位での遅延が想定される無線通信系の活用は難しい。
PS VRはここで有利である。PCと違って環境が統一されているため、「PS4とPS VRのセット」に絞り込んでチューニングを追い込める。実際、PS VRのVR体験は、PCのそれに勝るとも劣らない快適なものだ。
今年の秋には、PS4発売から3年が経過する。技術的に最新で数倍の価格であるハイエンドゲーミングPCに比べれば、純粋な演算能力ではかなりの差があり、不利は否めない。実際、VRにおけるCGの表示能力では、PC向けのものに比べ、差がある。
だがそれでもPS VRが快適であるのは、数ミリ秒を争って処理するVRにおいて、最適化設計が演算能力と同等以上の価値を持っている、ということなのだろう。そうしたノウハウも、VRが世に広まるにつれ、新しい価値として認識されていくのではないだろうか。