山田祥平のニュース羅針盤 (64) 実質0円の本当の問題は「わかりにくさ」
○648円は合理的な額なのか
ただ、このガイドラインにおける「合理的な額」「行き過ぎた額」といったキーワードには注目しておきたい。実に曖昧だからだ。冒頭の例では、確かに648円は実質ゼロ円ではないが、少なくとも最新製品のiPhone SEの価格としては限りなくゼロ円に近いように感じられる。それがまかり通ってしまっているところが問題だ。
消費者としては高機能な端末を廉価で入手できるのはありがたい。どうしてその恩恵を取り上げられるのかという疑問もわくだろう。それはそれで正論だ。
だが、端末の販売価格は事業者が決める。
それを高額に設定しておけば、端末購入補助金は高く見せかけることができる。高い補助金分をまかなって事業者側の負担を抑制するには、元々の通信料金を高く設定しておけばそれでいい。しかしこれではユーザーごとの不公平を生むし、通信料金も安くならない。
○通信料と端末価格のわかりやすい区分を
このガイドラインは2016年4月1日から適用されるが、消費者は通信料金と端末の価格、どちらが安くなることを望んでいるのだろうか。もちろん両方なのだろうが、そもそも、その区分がわかりにくくなってしまっていることが現状の問題であることを再確認しておきたい。