2016年5月9日 13:00
フジ『みんなのニュース』伊藤利尋キャスター、熊本地震のマスコミ取材で異例の謝罪 - 2週間の現地レポートで積もった「強い思い」
――逆に課題はありましたか?
僕の担当する全国ネットのニュースを考えると、発災1週間のタイミングのときに、熊本が発する教訓というのを全国に放送する意味もあるとは思うんですけど、一方でそれは被災地の人にとって今必要な情報ではないというジレンマは終始ありましたね。例えば、防災拠点である市庁舎が損傷してしまったという事実を教訓として、他の地域でも財政の問題はありますけど、施設の耐震を考えるということはテーマの1つとしてあると思うんです。だけど、今まさに市庁舎の代わりとなった体育館で市の職員の方が一生懸命頑張ってるじゃないですか。だからそこの部分のバランスや、メッセージを発するタイミングは、難しいなと思いました。
また、この後のステップというのが本当に難しいですよね。取材している間に「負けんばい熊本」と書いてあるシールがどんどん貼られていくんですよ。水しか出ない美容室でもそれを貼って商売を始めるんです。そういうお店がポツポツ出てくるので、そういう気持ちは応援したいじゃないですか。
一方で、熊本全部が前向きなんですよ、元気なんですよというのも誤ったメッセージになってしまう。そういう多様化が起きていくので、その"まだら感"を併せて伝えていく必要があると思いました。