写真家・篠山紀信はなぜ美術館でヌードを撮ったのか? 写真展『快楽の館』に迫る
『快楽の館』というタイトルは、アラン・ロブ・グリエというフランスの小説家の作品を日本語訳にした言葉からとりました。原題をそのまま訳すと「ランデブーの館」、つまりいろいろな人が集ってきて、いろいろなドラマが生まれるみたいな意味なんです。日々違う人が来て、出会っていく館という。
撮っている間も、綺麗なモデルさんたちが一糸まとわず次から次へと来て、写真を撮る快楽がありました。だから、『快楽の館』というのは、実は僕の快楽なんじゃないかというくらいに楽しかったですね。ただ、ポスターから見るように、怪しげな館にヌードの人が集まった、エロティックな饗宴じゃないか、と思っている人が見ると、ちょっと違う作品かもしれません。
●実は、男性の方が"裸"を恥ずかしがる?
○有名モデルも、作品の下に一律
――ヌードモデルさんの中に、壇蜜さんなども出演されていますよね。
ここに壇蜜さん的な人がいればとてもぴったりだなと思い、実際に出ていただきましたが、今回は作品の下にモデルの名前は一切載っていないんです。
有名な方も随分いますが、全員素人の方の部屋もありますし、作品の全責任は私にあります。男性の写真もありますしね。