くらし情報『「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (5) 新たな挑戦へ - 「投資信託」で個人のお金を預かり、長期投資を実現する!』

「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (5) 新たな挑戦へ - 「投資信託」で個人のお金を預かり、長期投資を実現する!

邦銀の財務情報がなぜ信用できないのか? それが取得原価主義会計であり、そのために不動産融資の不良債権損失を隠しておけたわけです。

海外からは日本の銀行は危ないと言われ続ける一方で、銀行自身は健全ですと言い続けていましたから、ついに政府は銀行への公的資金注入を法制化し、合わせて含み損があきらかになるように時価主義会計の導入を図ったのでした。

会計制度が原価主義から時価主義に変わるということで、日本企業の経営スタイルも抜本的な変革を迫られました。

決算ごとに企業は保有資産をその時の時価で評価替えしなければならなくなったわけで、日本的経営の特長であった内部留保型経営も、日本特有の慣習だった株式持合いの構造も瓦解が始まります。

もちろん運用資産についても同様、決算ごとに株式や債券も評価替えして損益に反映させなければならないということになりました。

財テク華やかなりしファイナンスカンパニーは次々と消え失せ、私のいた運用部隊は投資顧問会社に分離されて運用を続けていましたが、企業は運用資産の圧縮へと一斉に動き出すとともに、決算期ごとに一定の利益実現を厳格に求めるようになりました。

つまり、これまでの、10年かけてリターンを積み上げればいいという悠長なカルチャーはなくなり、機関投資家の資金では長期的運用を行うことが困難になったのです。

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