「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (6) 「未来図」という名のファンドを設計、証券会社回りを始める
という名称を持つファンドの設計ができ上がりました。
さて、次はどうやってこのファンドの投資家を募って行こうか。
投資信託は証券会社に販売してもらう、という業界の常識的慣習に則って、私たちも当然の如く証券会社まわりを始めました。
準大手から中堅・地場まで10数社を訪問したでしょうか。
そこで私はこの業界における徹底した横並びルールと堅固なる慣習の存在を目の当たりにすることになったのです。
まず私にとって初めての体験だったのは、証券会社のもうひとつの顔でした。
それまで私が接していた証券会社はセールス部門です。
投資顧問会社はバイサイドと言って、ブローカーである証券会社を通じて株や債券などを買うお客さんの立場でしたから、証券会社の人たちは皆低姿勢で愛想よく接してくれたのですが、今回私が訪れた証券会社の先は投信部の人たち。
営業部門とは全く逆の構図がそこにはあったのです。
今度は先方が商品選定をするお客の立場です。
私がこれまで知ることのなかった高圧的で不遜な証券会社の顔がそこにはありました。
そして業者としての立場を初めて味わったのです。
各社の投信部を回って、商品説明をしたあと必ず最初に出された条件は、販売手数料3%と信託報酬の半分を代行手数料として証券会社が取る、というフィーの配分でした。