「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (6) 「未来図」という名のファンドを設計、証券会社回りを始める
販売手数料は販売会社が生業として得るものですからもちろん認識していましたが、「代行報酬」という信託報酬から配分要求される手数料の存在を私は初めて知ったのでした。
どの証券会社に行っても条件は全く同じでした。
コストは投資家にとって長期での運用成果を損なう甚大なマイナス要因です。
販売手数料は購入時一回限りのものですが、信託報酬から払われる「代行手数料」は継続的なコストとなります。
私の会社とベア社のフィーに販売会社が要求するフィーがダブルで上乗せされて、結局は既存の投資信託と同様の高コストな、ごく普通のファンドになってしまいました。
そして販売会社の担当の人たちを接待して、販売実績に応じた営業マンへの報奨負担なども約束させられて、投資信託における販売会社の壁を実感させられたのでした。この業界におけるヒエラルキー、それは販売する側が圧倒的に強い発言力を持ち、運用会社は販売会社の意向に全面的に沿ってしか行動できない、まさに出入りの下請け業者なのです。
この時私はまざまざとその実態を認識させられたわけですが、これが業界の常識だと言われると、それを受け入れる発想しかなかったのです。