鉄道トリビア (142) 300系「のぞみ」が名古屋・京都を飛ばした理由
16日に引退した新幹線300系は、東海道新幹線の歴史を変えた車両だった。
東海道新幹線は開業以来、速達型の「ひかり」と各駅停車の「こだま」の2種類を運行していたが、300系は3番目の種別「のぞみ」を運行するために作られた。
最高時速270kmを達成し、ちょうど20年前の1992年3月14日に営業運転を開始した。
その一番列車「のぞみ301号」は、新幹線史上唯一の停車駅パターンとなっていた。
なんと名古屋駅と京都駅を通過していたのだ。
東京駅6時0分発、新横浜駅6時15分着・6時16分発、新大阪駅8時30分着。
当時、「ひかり」さえ一部の列車しか停まらなかった新横浜駅に停まる一方、名古屋駅と京都駅は通過した。
この扱いに名古屋の人々は激怒したという。
この扱いは約5年8カ月も続き、1997年11月に「のぞみ301号」は廃止された。
鉄道路線に新型車両を投入する理由は、おもに「古くなって廃止する車両を置き換えるため」だ。
しかし300系は単なる新旧交代が目的ではなかった。
新幹線そのものの商品力を高めるため、もっと速く走らせる必要があったのだ。
その第1の理由は航空業界の規制緩和だった。