鉄道トリビア (144) 十和田観光電鉄や長野電鉄にも…地方私鉄に「転職」しやすい電車の特徴
十和田観光電鉄線と長野電鉄屋代線が31日で廃止される。
この2つの路線には、「東急線を走った電車が移籍し、活躍してきた」という共通点がある。
東急線の電車は地方鉄道に大人気で、他にも弘南鉄道、福島交通、上田電鉄など全国に分布する。
じつは、東急の「中古車」は地方鉄道にぴったりなある条件を備えているという。
その人気の理由とは……。
日本の電車の多くは「20m車」「18m車」に分類される。
これは車体の長さを示し、例外として新幹線のような25m車や、18m車より少し短い17m車などがある。
しかし大手私鉄はほとんどが20m車を採用している。
理由はもちろん、大量の通勤通学輸送に対応するためだ。
一方、地方私鉄はひとまわり小さい18m車が多い。
このサイズのルーツは、第2次大戦後に運輸省(当時)が制定した「運輸省規格形電車」にある。
戦後の鉄道復興のために、電車の部品や図面を共通化してコストを下げようという意図があり、車体の長さは15mと17.5mの2種類が定められた。
多くの私鉄がこの規格のうち17.5m車を採用し、やがて18mとなった。
大手私鉄はこの規格に対応した線路設備を持っていたし、もっと短い電車を使っていた鉄道会社も、ホームの位置やカーブ付近の設備の位置を移動するなどして18m車に対応させた。