奥様はコマガール (36) 悩める薄毛男子に訪れた奇跡(2)
は、羨望と嫉妬の対象なのだ。
とにかく、おかげさまで増毛男子になったわけだ。
これからは雨や強風を必要以上に怖がらなくてもいいだろう。
どんとこい、湿度。
どんとこい、春一番である。
今のところ、妻のチーの反応も上々だ。
チーは僕が何も言っていないにもかかわらず、「あれ? 髪が増えてない? 」とめざとく気づいたようで、特に前髪の生え際部分をしげしげと見つめてきた。
「そうなんだよー」と僕が事情をかくかくしかじか説明すると、「ほんとに良かったねー」と、まるで我が事のように喜んでくれた。
僕も嬉しさで気持ちに余裕ができてきたからか、チーに頭髪を触られても、以前のように激怒することがなくなった。
今後は夕食に海藻サラダ(育毛にいいという噂)が続いたとしても、「俺への厭味かっ」とヘソを曲げることもなくなるだろう。
夫婦で口喧嘩になって、チーに「うるさい、このハゲ! 」と罵られても、「ハゲてねえし! 」と言い返すことができるだろう。いやはや、増毛とはなんと素敵なことか。
未来が一気に明るくなる。
しかし、そんな喜びも束の間、増毛男子を嘲笑うかのように、最近になって新たな天敵が出現した。