読む鉄道、観る鉄道 (5) 『オリエント急行殺人事件』 - 豪華個室寝台車で起きた密室殺人事件!
「定期的に運行する旅行会社主催の団体列車」というスタイルだ。
映画に登場するポワロの友人ビアンキは、ワゴン・リの重役という設定である。
運行ルートはイスタンブール駅出発の場面で、駅の構内放送として紹介される。
ソフィア、ベオグラード、ザグレブ、プロント、トリエスト、ベニス、ミラノ、ローザンヌ、パリ、カレー。
これは主要駅のみの案内で、他にも停車駅がある。
事件が起きた場所はヴィンコヴチとブロッドの間で、旧ユーゴスラビア国内。
2泊目の夜だった。
編成は機関車寄りから荷物車、食堂車、個室寝台車、特別車。
各1両でたった4両編成。
乗客は15名。
約1週間の長距離運行で食堂車も連結する。
運行コストを考えるとかなりの料金になりそうだ。
映画だから4両かと思ったけれど、じつは当時も寝台車2両、食堂車1両、荷物車2両で、意外と短い列車だった。
もっとも、これはイスタンブール側の末端区間のようで、実際にはヨーロッパに近づくほど客車が増結、分離されていた。
本作の中でもビアンキがポワロに部屋を譲り、「あなたはカレーまで行く寝台車に乗りなさい」と言う。
特別車は途中で切り離されるようだ。