「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (7) 志高く運用に取り組んだ「未来図」、業界の常識と慣習の洗礼を浴びて”敗北”
「未来図」はBSAMのリサーチ力を生かして主に中南米諸国の担保付国債に投資するとともに、そうした地域で事業展開する日米欧先進国のさまざまな社債を組み合わせてポートフォリオを構成する運用でした。
まさにグローバリゼーションの息吹を感じて、世界経済の成長に乗って資産形成していく「国際分散投資」を体現したものだったのです。
ところで債券というと、クーポン収入を得て満期まで持つものだと多くの人が思い込んでいるようですが、債券にもクレジット投資という厳然たるアクティブポートフォリオ運用があります。
それは例えば社債の場合、発行体企業の業績が良くなって信用力が上がるとリスクプレミアムが小さくなって債券価格は金利に関係なく上昇します。
それをとりに行くのがクレジット投資です。この頃の中南米諸国の国債の場合、グローバリゼーション黎明期で、経済成長が始まったばかり。
経済規模の拡大や財政状況の改善に伴って、格付けもちょっとづつ上がり始めていたわけで、格上げされると債券価格も上がるので、長期のクレジット投資対象として絶妙の時期だったのです。
そんなわけで日々高揚を保ちつつ、ニューヨークのBSAMとのコンビネーションも緊密に、我ながら良いファンドができつつあると実感していました。