「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (7) 志高く運用に取り組んだ「未来図」、業界の常識と慣習の洗礼を浴びて”敗北”
ところが、運用開始から半年が過ぎると、ファンドの資金フローが一変し始めました。
ファンドの解約が始まったのです。
半年間は販売サイドも顧客に解約誘導しないというのが、業界の暗黙のルールだったのですが、その決まりどおり、半年経つと営業マンが解約を促して、次の新しい別の投資信託へ乗り換え勧誘を開始したわけです。
ひとたび解約の流れが起きると、もうそれは収まりません。
毎日のように解約一辺倒、運用資金は日々流出ばかりとなりました。
ポートフォリオはほとんどキャッシュを持たずに運用していましたので、解約資金を手当てするためポートフォリオの中身の資産を売却せざるを得なくなりました。
ちょうど相場は下落の途上、本来ならここは安くなったところを買い下がっていきたい局面だったのですが、下がった中を叩き売りしなければならなくなったのです。
最早まともな運用は成り立たなくなりました。
いくら運用のシナリオを作ろうとも、資金フローがそれを可能にさせてはくれません。
ただただ保有資産を売って得た資金を解約キャッシュに充てるのみ、まさにジリ貧ファンドに成り果てました。
そしてこれが、日本の投資信託の日常風景だったのです。