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鉄道トリビア (145) 雪解けとともに時刻表から姿を消す路線と駅がある

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鉄道トリビア (145) 雪解けとともに時刻表から姿を消す路線と駅がある
書店で買える地図といえば道路地図や観光地図を思い浮かべる。

これらは年1回のペースで改訂されているから、よく理由する道路周辺の状況が変わったら買い換えたほうがいい。

ところで、書店で販売される時刻表の巻頭には索引地図がついている。

路線のそばに時刻表の掲載ページが示されており、新路線が開通すると追加され、路線が廃止されると消去される。

いつも同じ地図が掲載されているように見えるが、1年単位ではなく、ちゃんと毎月改訂されている。

その証拠に、毎年、雪の季節になると時刻表の地図に現れ、雪解けとともに消える路線と駅がある。

廃止や新規建設を繰り返しているわけではないのに、時刻表の地図に現れたり、消えたりするという不思議な路線。

それは、上越新幹線の列車が乗り入れる越後湯沢~ガーラ湯沢駅間だ。


越後湯沢駅は上越新幹線の途中停車駅として毎年営業しているけれど、ガーラ湯沢駅は雪解けの季節になると消えてしまう。

同駅へ向かう線路も表示されなくなる。

たとえば、「JR時刻表」2012年3月号にはガーラ湯沢駅が掲載されている。

しかし2011年8月号には掲載されていない。

ヒントは何度も出てきたキーワード「雪」だ。

ガーラ湯沢駅はJR東日本が運営するスキー場に直結した駅で、スキーシーズンしか営業しない。

この駅には東京から上越新幹線が直通するけれど、それもスキーシーズンだけ。

列車時刻表のページも同様で、スキーシーズンにはガーラ湯沢駅が掲載されているけれど、シーズンオフには削除されてしまう。


ガーラ湯沢駅は1990年に開業した。

JR東日本の発足から3年目のことだ。

鉄道以外の新事業を開拓するアイデアを社内公募したところ、スキー場開発のアイデアがあり、「駅から直結、東京から日帰りできるスキー場」としてガーラ湯沢スキー場が開発され、そのアクセスのために駅がつくられたという。

もともとここは上越新幹線の保線基地があり、駅を作る用地の確保も容易だったとのこと。

スキーシーズンしか使われない臨時駅だから、シーズン以外は閉鎖される。

ゆえに時刻表の地図からも消去されてしまうというわけだ。

それを知っていれば、時刻表の巻頭の地図を見ただけで、冬の時刻表か夏の時刻表か判別できる。スキー場の営業期間にもよるけれど、だいたい12月号から5月号までは地図上に現れ、6月号から11月号までは消えているようだ。


「なるほど、営業期間以外は表示されないのか」と納得できそうだけど、同じようにスキーシーズンだけ営業する臨時駅でありながら、大糸線のヤナバスキー場前駅は毎月表示されているし、観梅のシーズンのみ営業する常磐線の偕楽園駅も同様だ。

その違いを考えると、線路は通年稼動していて、駅だけ期間限定だからかな? とも思う。

営業期間外に各駅停車の列車に乗っていて、通過した駅があると不思議だ。

そこで時刻表地図を調べると(臨)のマークがある。

なるほど、あの駅は臨時駅だったのかと納得できるというわけだ。

ところが通年営業している路線の臨時駅でも、長崎本線のバルーン佐賀駅は10月号または11月号あたりに掲載されるだけで、それ以外の月は掲載されない。

この駅は毎年秋に開催される「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」のための駅で、わずか1週間ほどしか営業していない。

牟岐線の田井ノ浜駅も、海水浴シーズンの時刻表にしか掲載されていない。


臨時駅は時刻表に表示されたりされなかったりと、法則性が一定していない。

考えられる理由としては、JR各社から提供されるダイヤのデータに従っているからかもしれない。

提供されるデータに記載されていれば表示し、記載されなければ表示しないというわけだ。

ダイヤは列車の運転計画を示しているから、必要のない駅や路線を掲載する必要はない。

ただし、つねに同じ駅データを流用し、列車ダイヤを作成する路線では、駅の表記があってもすべての列車が通過するという月がある。

交通新聞社の「JR時刻表」も、JTB発行の「JTB時刻表」も、そのルールに従っているだけといえそうだ。

もしあなたがガーラ湯沢駅で恋に落ち、「また来月、この駅のこのホームで会いましょうね」なんて言われたら要注意。

ロマンチックな出会いの演出かな? と思っても、次の月に列車が運行されていなかったら、その恋は相手にとって遊びだったというわけで……。


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