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鉄道トリビア (151) 新幹線の車両形式に「600系」がない理由

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鉄道トリビア (151) 新幹線の車両形式に「600系」がない理由
東海道・山陽新幹線の車両形式は0系、100系、300系……、と100の位が奇数。

一方、東北・上越新幹線などは200系、400系と100の位が偶数だった。

そして九州新幹線は800系。

あれ? 「600系」がない。

新幹線の「600系」はどこへ行ってしまったのだろう?新幹線の「600系」はちゃんと開発され、いまでも走っている。

ただし、その車両には「600系」の名前を与えられず、「E1系」になった。

じつは、JR東海が700系の次を「900系」ではなくN700系としたように、東北・上越新幹線などを管轄するJR東日本も、次世代車両の形式番号について悩んでいた。

200系、400系、600系……、と続けていけば、やがて800系、1000系、1200系になっていく。


前回も書いたように、「1000」の番号は0系の試作車として使われていた。

もっとも、それは国鉄時代の話だし、いまは別会社だと考えれば、「1000系」としてもよかったかもしれない。

JRにはもうひとつ、悩ましい問題があった。

在来線車両の形式番号も足りなくなってきたのだ。

電車の車両形式は、国鉄時代から電車は数字3桁と決められていた。

113系といえば直流電化区間の普通列車用。

781系といえば交流電化区間の特急列車用である。

形式番号のしくみを知っていれば、数字を見ただけで用途がわかる。


国鉄時代のルールは次のようになっていた。

100の位は電化方式を示す。

1~3が直流電化区間専用、4~6が交流・直流両用、7~8が交流電化区間専用。

10の位は用途を示す。

0~3が普通列車用、4が荷物車など事業用、5~7が急行用、8が特急用、9が試験車両。

1の位はモデル番号を示す。

0と1、2と3、4と5、6と7、8と9が同じ形式で使われ、形式全体を呼ぶときは奇数を使った。

しかし新型車両が次々と登場すれば、やがて番号が足りなくなる。


実際、10の位が「8」だけしかない特急用車両の番号が足りなかった。

当初は全国から急行が姿を消していたこともあり、急行用の番号を特急用に割り当てた。

その第1弾が、1989年に誕生した常磐線特急用の651系だった。特急用の車両形式は急行からの転用で間に合わせたけれど、国鉄がJRへと分割民営化され、各社が国鉄時代のルールを使い続けると、同じ形式番号が他のJR会社で発生するかもしれない。

だからといって、いちいち番号を調整するにも手間がかかる。

そこで、JR東日本は形式名の先頭に「East」の頭文字「E」を付与すると決めた。

東を示す「E」を頭につけるだけで、JR他社の番号とは区別できる。

在来線では1994年、E351系とE217系がつくられた。


新幹線のほうは、600系にEを付けると「E600系」になるけれど、これだと交直両用の在来線用車両とまぎらわしくなる。

そこで、新たなルールとして「E1」から順に番号を付けると決めた。

これにより、600系としてデビューするはずだった車両は「E1系」となった。

新幹線はJR東日本を代表する路線であるし、「E」が付けば従来のルールにこだわる必要もないという、思いきった判断だった。

そう考えると、JR東海のN700系に付与された「N」も、JR東日本の「E」と同じで番号の重複を避けるアイデアといえそうだ。

ちなみにJR四国は、「国鉄ルール」をやめて大手私鉄のような4桁の数字(8000系など)を使っている。

今後、JR東海の在来線やJR西日本、JR九州、JR北海道がどんな形式番号のルールを決めていくのか、興味深いところだ。

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