奥様はコマガール (50) スーパー金持ちSくんの結婚
当時、Sの財布の中身をなんとなく覗いてみたことがあるのだが、そのとき1万円札の束(おそらく10万円以上)が入っていて、思わず目を丸くした。
Sに「100円貸して」と言って、1万円札を出されたこともあった。
中でも忘れられないのは、中学2年のある日曜日のことだ。
そのころ、どういうわけか急激にSと仲良くなった僕は、その日初めてSと外で遊ぶ約束をした。
僕らは昼すぎごろに大阪ミナミの中心部である巨大ターミナル・難波駅の某スポットで待ち合わせをしたのだが、そのとき先に待ち合わせ場所に到着していた僕の目の前に、眩いばかりの原色イエローのスーツを軽快に纏った中学2年のSが颯爽と登場したのだ。
当時のSの身長は、ちょっと伸びて150cmくらいである。
Sのスーツは高級ブランド・ベルサーチのもので、数十万円はする代物だった。
一方の僕はどこにでもいる中学生と同じく、ジーパンにTシャツ姿。
友達と二人で歩いているだけで恥ずかしいと思ったのは、後にも先にもあのときしかない。Sの中学生らしからぬ風貌は、もし亀に乗っていたら完全に『お坊ちゃまくん』(小林よしのり)だ。
さらに驚いたのはそれだけではない。