奥様はコマガール (50) スーパー金持ちSくんの結婚
Sと二人でミナミを歩いていると、通り沿いに並ぶ多くの飲食店の方々から次々に声をかけられる。
「Sくん、今日もかわいいねえー」「Sくん、お父さんによろしくねー」「Sくん、また遊びにきいやー」。
そう、Sは中学2年にしてミナミ界隈のちょっとした顔なのだ。
いったい、どんな人生を送ってきたのだろう。
その他、Sは高級ブランド時計を500本以上所有していたり、ヘリコプターを所有していたり、「銭湯に行く」と言ってヘリコプターで和歌山の温泉に飛び立ったり、それまでの僕の常識や価値観が根底から覆されるような仰天金持ち行動を連発した。
彼と多くの時間を過ごした青春時代は、今も思い出深い。
賛否はあるだろうが、金持ちのボンボンもあそこまでいけば笑えてくる。
馬鹿らしくて、妬みや嫉みの対象にすらならないわけだ。
しかし、それで終わらないのがSのすごいところである。
その後、高校を卒業したぐらいのころに、Sの家庭は日本経済全体を襲ったバブル崩壊の余波をもろに食らい、大富豪から一転して多額の負債を抱えることになった。
ミナミに所有していた数々のビルは次々に抵当権を実行され、その競落金もすべて多額の債務返済に充当されていく。