北海道・帯広の家庭から自炊カレーを消した、恐るべきインデアン一族
同じくたくさんの人が来るのだが、皆、昼とは様子が違う。
なんと手に鍋を下げている。
説明の必要はあるまい。
お客たちは、夜、家庭でいただくカレーを鍋ごとインデアンに買いに来ているのである。
こうなると単なる人気店の域を超えている。
インデアンのカレーは「十勝住民の家庭のカレー」と呼べるほど浸透しているのだ。
世の中にご当地グルメは数あれど、これほど地元で愛され、密接に定着している料理には出合ったことがない。
そうなると、もちろん味を試さずにはいられない。
7種類あるメニューの中から、最もベーシックであろう「インデアン」をオーダー。
4段階から選べる辛さは、舌をマヒさせぬよう警戒しつつ最も低い中辛に。
価格はなんと399円である。
口に運ぶと、深いコクとほんのり優しい味が口中に広がる。
食べ進めるほどにゆっくりと辛さが効いてくるが、どこかサラリとしている。
なるほど、幅広い年齢層にも親しまれていることがよく分かる。しかも、家庭のカレーとは一味違う。
この奥深いコクは、決して素人に出せるものではない。
しかもルーは1種類ではない。
メニュー応じてスパイスを足す…などというのではなく、初期段階からキッチリ作り分けたルーを用意している。