バーナンキ議長は、任期問題に自ら積極的に関わるような姿勢は見せていませんが、11月の大統領選挙が近づく中、今回のFOMCを逃すと、政策面での制約が強くなるリスクを考慮したのかもしれません。
なお、共和党と、FRBの中でも緩和策にさほど前向きでない理事たちは、今回のFOMCの決定に対する不満を示すかもしれませんが、新たな量的緩和策の実施は、民主、共和の政党に関係なく、次の大統領を助けることになる可能性があります。
QE3の実施を投資家が好感し、リスク資産の価格がさらに上昇する可能性はあるものの、今回のFRBの決定が実体経済をどの程度支えることになるかという点では、大きな疑問が残ります。
なぜなら、事実上のゼロ金利政策が2014年以降も継続されるという見方が、既にかなり高まっていただけでなく、米10年物国債やMBSの利回りが既にかなり低水準となっているからです。
むしろ、11月の米大統領選挙で勝利するのは誰かということ、そして、民主・共和両党の激しい対立が続く中、いわゆる「財政の崖(※)」という問題の回避に向けて妥協が成立するかどうかということの方が、今回のFRBの決定よりも重要視される可能性があります。