【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(2)もしも海が淡水だったら
浮力は液体の重さに比例するので、海水の方が1.02倍の浮力を得られる計算となる。塩分濃度が30%にも及ぶ死海では、浮輪なしでも人間が浮くのは1ccあたりの海水が重いからである。
もしも海水が淡水になったら、浮力は減少し船の沈没事故につながる。現時点で世界最大のタンカーであるノック・ネヴィスを例にとると、最大積載時は船体と貨物(原油)を合わせて約82万トンに及ぶ。海上で沈まずないのは、同じく82万トン余りの浮力を受けているからである。これが淡水になると、浮力は80.4万トンに減少する。わずか3%の塩分が1.6万トンの違いに発展するのだ。
沈没させないためには1.6万トン分の荷物を減らすか、船体を軽くするしかないが、どちらもコストアップは免れない。
世界経済の混乱は必至だろう。
■海水浴も命がけ?
海産物の生食は一般的だが、淡水魚をあまり生食しないのはなぜか?答えは寄生虫だ。もちろん海水魚にも寄生虫は存在する。特にサケやマスのような川に遡上(そじょう)する魚は、生食用は冷凍し寄生虫処理がおこなわれるほどだ。殺菌作用のない淡水ではさらに多く、人体に直接影響するほか、卵の状態で経口感染する場合もある。