【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(2)もしも海が淡水だったら
美食家として知られる北大路魯山人はタニシの生食が原因で、肝臓ジストマで他界したと言われている。専門知識や適切な処置を施さない限り、生食は避けるべきだ。
菌やバクテリアのような微生物も問題だ。塩分のある海水であっても大腸菌やコレラなど、人体に有害な菌は存在する。東京湾には、江戸時代に発生したコレラ菌が眠っていて、温度が上がると活動を再開するのでは、という説もある。おまけに、護岸工事や砕石のために作られた海底のくぼ地が、嫌気性細菌の温床となり、青潮の原因となっていることも判明している。今でも安全とは呼べない海水に、淡水でしか生きられなかった微生物が加わったらどうなるか?
映画の題名のような名前だが、殺人アメーバと呼ばれる単細胞生物が存在する。正式名称はネグレリア・フォーレリで、河川や湖沼に生息し、傷口や鼻から侵入して脳を溶かしながら増殖する性質を持っている。
発症から10日余りで致死率は95~98%に及ぶというから、すさまじい破壊力を持ったアメーバだ。日本でも発症例があるというから他人事ではない。25~35℃と温かい水を好むので、夏には日本中の海で出会える計算になる。こうなっては海水浴など自殺行為に等しい。