【雑学キング!】もしも科学シリーズ(20)もしも超高温を手に入れたら
2010年、アメリカのブルックヘブン国立研究所(BNL)は、人工の最高温度のギネス世界記録を樹立した。その温度はなんと4兆℃!太陽中心温度の27万倍というから驚きだ。
もしも超高温を手に入れたらどうなるか?陽子と中性子から溶け出たクォークのスープを味わいながら、宇宙誕生の直後を体験することになりそうだ。
■完全液体化する原子
4兆℃をつくるには、まずはBNLが誇る「相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)」という長い名前の装置が必要だ。全周およそ3,800m、直径になおすと約1.2kmの非常に大がかりなRHICは、現時点で世界初・世界唯一の偏極陽子衝突加速器という、これまた長い肩書を持っている。ただし欧州原子核機構(CERN)のLHCが同じ実験をおこなうと世界唯一ではなくなってしまうから、今のうちに叫んでおこう。わがBNCの科学は世界一ィィィ!
RHICには2つの超伝導加速リングがあり、陽子をはじめ金(Au)の原子核までさまざまな粒子を加速できる。100GeV(1,000億電子ボルト!)のエネルギーを与えられた金原子核は、光速の99.996%まで加速され、この速度こそが超高温状態を作り出す原動力となる。