すると、原子は「励起(れいき)状態」と呼ばれる不安定な興奮状態になります。しかし、この興奮状態は一時的なもので長くは続かず、この状態から元の状態に戻ろうとするときに、余ったエネルギーを光として放出します。
この光が地上からはオーロラという形で見えるわけです。
■ 日本ではめったにオーロラが見られない理由
ところで、オーロラは主に北極圏や南極圏を中心とした極地方で見られる現象で、日本で見られたという話はめったに聞きません。
これはなぜでしょう?
先ほど、太陽風が地球の大気と衝突することによってオーロラは発生すると説明しましたが、もし大量のプラズマを地上の生物たちが日常的に浴び続けていたとしたら、その生命さえ脅かされるほどの影響を受けるはずです。
しかし、実際のところ生物にはその影響が見られません。
実は、このことが日本でオーロラが見られない理由に深くかかわりがあります。
というのも、幸いなことに地球には磁場が存在します。
大きな1つの磁石のような性質を持った地球は、全体が磁場で守られているため、太陽風が直接地表まで届くことはありません。
太陽からやって来た太陽風は、地球の大気に衝突する前に、北極付近にあるS極と南極付近にあるN極とを結ぶ磁力線に沿った形で極地方へと運ばれていき、そこで初めて大気中の原子と衝突して発光します。