しかし、ついにエンジンの台の部分が見つかります。NASDAはこの位置からエンジン落下地点の再計算を行います。そしてついに12月24日、エンジンを見つけることに成功したのです。小笠原諸島の北西約380キロの地点でした(水深は約3,000m)。日本の技術者の執念がつかみ取ったクリスマスプレゼントでした。
LE-7エンジンを回収して調査した結果は、H2Aロケットの『LE-7Aエンジン』に生かされています。この回収調査のおかげでLE-7Aエンジンは高い信頼性を誇るものになったのです。
■日本の打ち上げ拠点「種子島」の話
鹿児島県の種子島は日本の「ケープ・カナベラル」。
日本のロケット発射の最前線です。種子島がなぜロケット発射場に選ばれたかご存じでしょうか。
静止軌道衛星(地球から見ると止まってるように見える)を打ち上げるのに最も安くすむのは赤道上から打ち上げることです。静止軌道衛星は、気象観測などにニーズが高いですから、これを安価に打ち上げられることを考えなければなりません。また、地球の自転速度を利用することを考えると赤道上が一番です。(自転速度の最も速い)赤道上では秒速464m。(地球が西から東に自転しているため)