ブルーブラックの端正なまつ毛が、私の背筋を伸ばしてくれる。Amplitudeのカラーマスカラ
■マスカラの端正なムードが、「今本当にやりたいこと」を呼び起こしてくれる
そう、たとえば、ドラマチックなつけ襟にベロアのリボンで髪を束ねた、シネマライクなアレンジを楽しんだり、ブラックワンピースを潔く着こなして、気品のあるお嬢さん的な端正なムードを楽しんだり。ツイードのタイトスカートにミントグリーンのボウタイブラウスを合わせて、フランスのマダムを気どるのもいい。
……なんて妄想しながら、思いついたようにクローゼットを開く。ミントグリーンのシルクのブラウスがどこかにあったことを思い出したからだ。
ハンガーをかき分け出てきたブラウスは、若き日に奮発して買ったもの。一度も袖を通すことなく、大人になったら着ようとクローゼットで寝かせていた。久しぶりに手にとったブラウスは記憶にあるようなミントグリーンではなく、色あせて、襟元も崩れていた。
しかし、色あせて変化しているのは洋服だけでなく、自分の心でもあることに、私は気づいていた。
ただ、目の前にある“曖昧さ”はあまりにも居心地がよく、忙しいと言い訳をしては、今の自分に対峙することから目を背けていた。どんなものも気づかないうちに静かに変化する。だから、寝かせておいてはいけない。
あせた色のそのブラウスをゴミ袋に放り込み、手帳を広げる。