読む前には戻れない……五感に染みる活字の恐怖。【TheBookNook #28】
轟くそれらの描写は今思い出すだけでも鳥肌が体中を駆け巡ります。こんなにも読む手を止めたくなった作品は他にありません。人間は過去に実際に見聞きしたものや、想像できる範疇でしか脳内に描くことができないはずなのに、この作品では自身から産まれた創造とは思えないほどグロテスクな脳内映像が再生されてしまいます……。
読み進めているうちに“いやいやないだろう……”と、“あるのかも……”の境界があやふやになっていき、気づけばラスト1ページ。思わぬ角度から差し込まれる恐怖を覗いて観たい方はぜひ、自己責任で。なんにせよ、間違いなく映像化してほしくない作品No.1。何度も言いますが、グロ注意です。
2.小野不由美『残穢』
一度読み始めてしまったら、読み進めるのも、読まないのもキツイ。
そう、この作品を一言で表すなら……キツイ。
物語は小説家である主人公 “私”、のもとに一通の手紙が届くところから始まります。「今住んでる部屋で、奇妙な音がするんです。」……“私”と手紙の主である学生の久保さんはその真相を探っていくのですが……。
調査すればするほど深まる謎、迫りくる違和感、じわじわと浸食されていく恐怖、活字から確かに聞こえる音、ずっと整わない呼吸……。