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春の訪れを感じさせる季節になってきました。春の一大イベントといえば、やはりお花見。きれいに咲いた桜を見ながら盛りあがるのは本当に楽しいものです。
ただ、そんな楽しいお花見の中でも、事前に良い場所を確保する
「場所取り」が毎年加熱してきて、最近では多くのトラブルが発生しているようです。
そこで今回は、お花見シーズンがくる前に、違法になってしまうかもしれない場所取りはどんなものなのかをお話しします。
■公園にシートを敷いた場所取りは違法?
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公園は、他者の共同使用を妨げない範囲で、その用法に従って
自由に使用できるというのが原則です。都市公園法において、「都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない。」と定められています(同法6条1項)。
これに違反した場合には6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります(同法38条2号)。ただ場所取りのためにブルーシートを敷く程度のことは
「占用」とはいえず、
「自由使用」の範囲内といえるでしょう。
もっとも、花見当日の
何日も前からブルーシートを敷いて、さらに簡単に撤去できないように
くいを打つといった行為は、状態によっては、「占用」に該当するとして、
都市公園法違反となる可能性があります。
また、各都道府県が条例によって公園内における禁止行為を定めています。たとえば東京都立公園条例では、「都市公園の管理に支障がある行為」を禁止しています(同条例16条10号)。これに違反した場合には、5万円以下の過料を科すことを定めています(同条例25条)。
住んでいる地域や花見を行う地域の条例をきちんと確認することをおすすめします。
なお、
対価を得て場所取りを行うことは、東京都迷惑防止条例違反となり(同条例3条)、50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる可能性があります(同条例8条4項1号)。
■芝生にスプレーで場所取りをした場合には
器物損壊罪における「損壊」には、物理的に破壊することに限らず、広く物の効用を喪失させる行為を含むとされています。
カラースプレーを使って、芝生に線を引いたり、自身の名前を描いたりして、場所取りをしたとき。もしこのことが原因で、芝生が枯れてしまったり、景観が損なわれてしまったりした場合には、芝生を「損壊」したとして器物損壊罪(刑法261条)が成立し、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料に処せられる可能性があります。
また、東京都立公園条例16条2号においては、「植物を採集しまたは損傷すること」が禁止されていますので、こちらの条例違反になる可能性もあります。
■お花見で気をつけたいこと
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・公園の桜を折った
器物損壊罪や東京都立公園条例16条2号違反になる可能性があります。
・ごみを公園に放置した
東京都立公園条例16条9号違反になる可能性があります。
・酒に酔って下半身を露出した
公然わいせつ罪(刑法174条)が成立する可能性があります。
また、
酒に酔った状態で車を運転すれば、道路交通法違反(同法65条1項)になります。万一事故を起こして人を死傷させた場合には、自動車運転死傷行為処罰法の適用により、行為類型に応じて重い刑罰に処せられる可能性もありますので、絶対にやめてくださいね。
■まとめ
桜の花は、咲いている場所が美しければ、より一層美しく見えるものです。花見客みんながマナーを守って観賞することで、桜は私たちにより一層の感動を与え、話にも花を咲かせてくれるものかと思います。
お花見では、家族や友人、仕事仲間と楽しく飲んでいるうちに、ついつい他者に対する配慮がおろそかになりがち。
でも自分たちの花見をすてきな思い出にするためにも、犯罪に該当する可能性のある行為はもちろんのこと、酒に酔って大声を出して騒ぐなど、ほかの花見客を不快にさせるような行為についても、控えるように心がけましょう。
監修協力:弁護士法人アディーレ法律事務所 (東京弁護士会所属)
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