■前回のあらすじ
きちんとご祈祷をしてもらったにもかかわらず、正しい行程である“息抜き”をせずに埋め戻されてしまった井戸。その上に建てた家で暮らし始めると、祖父が謎の発熱で入院することになって…。
なかなか治療の効果が出ず、謎の熱が下がらなかったじいちゃん。
そこからほんの数年で、バタバタとみんな体調を崩していきました。
ちょっとあげるだけでも、祖母は顔面神経麻痺、ひいばあちゃんも体調を崩し入院、ひいじいちゃんは赤ん坊の私を背負ったまま階段から転げ落ち骨折、母は腎盂腎炎で入院。
ずっと無事なのは、婿養子だった父のみでした。
余りにも色々続くので、じいちゃんは段々不安に…。
もしかして、井戸のせい?
そこで、ご祈祷していただいた神社の神主さんに話を聞きに行くことにしました。
じいさん「あのー、井戸を埋めたせいなのか家族が入院続きなんですけど…」
すると、神主さんは…。
ハッ……!! 井戸の息抜きも土も神主さんに教えられた通りにはやってない!
じいさん「ちなみに井戸の神様が怒るとどんな事が起きるんですか」
神主さん「その井戸の上に住んでる方に災いが起きるとは言われてます。
病気や事故にあいやすいとか」
井戸の上………
井戸の真上は………
みんなが集まるリビング!!!
みんな別々に住んでますが、ご飯はその井戸の真上のリビングに集まって食べるのが習慣となっていました。
家に帰り、落ち込みまくるじいさん。度が過ぎるほど“息子ラブ”だったひいばあちゃんがそれに気付き、声をかけました。
じいさんから井戸の話をひと通り聞いたひいばあちゃんは、こっそりその神社に話をしにいき、厄祓いの御札を貰ってきました。
でも、こんな(ちゃんと息抜きなどやってなかった)ことを他の家族に言ったら、うちの息子が責められるかも。
「息子が責められるのを避けたい&もらった御札を貼るにはどうしたら…」
ひいばあちゃん考えに考えて、ひらめき神降臨!
「もらった御札の上からカレンダー被せたらいいんだ!」
おかげで誰にも気付かれず済んだかと思われたのですが…。
年が明けて、母がカレンダーを新しいものに変えようとしたときに厄祓いの御札が出てきました。
母「誰かが御札貰ってきてたんだな。
新年になった事だし、御札返して新しい御札もらってこよっと」
神主さん「なんで? この御札は夏くらいにお宅のひいおばあちゃんが家内安全の厄祓いにってわざわざご祈祷までして持って帰ったものですよ。1年は取替えなくていいんですよ。また夏ごろ持ってきてください」
確かにみんな体調崩しがちだから、ひいばあちゃんも心配でご祈祷して貰いに行ったんだな…その割に家族を心配した本人が急に亡くなっちゃって可哀想だね…と、母もしんみりと帰ってきたそうな。
それから日々の暮らしに流され御札はそのまま元の場所に貼られたままとなり、ずっとそのままになっていて…。
そこからしばらく経ち、最初の話に出てきた廊下の異音に繋がるのです。
以前にも話しましたが、廊下の異音とは、昼夜関係なくズズズ……シュルシュル…と引きずるような衣擦れのような音が聞こえてくるというもの。
いざ確認に行くと、誰もいないというこの現象。私だけが感じるもののようでした。
この廊下はなるべく通らないようにしたかったけど、どうしてもトイレに行く時や自分の部屋に行く時など毎日通らざるを得ない。
そんなある晩のこと…。
次回に続く「生まれ育った家が怖かった話」(全9話)は21時更新!