フリーダ・カーロのドキュメンタリー映画公開。遺品から紐解く、知られざる素顔
を捉えた作品となっている。
“生きること”そのものを描き続けたフリーダの記憶を内包した遺品たち。彼女のアイデンティティを支えた伝統衣装やアクセサリー、絶え間ない身体の痛みを想起させるコルセットや医薬品など、その数は膨大だ。
実際に3週間にわたりフリーダの遺品たちと対峙した石内氏に、当時を振り返ってもらうとこんな言葉が返ってきた。
「フリーダには熱狂的なファンが多いけれど、正直なところ私はそれほど熱心なファンというわけではなく、ごく一般的な知識しか持ち合わせていませんでした。でも撮るからには、資料として、本は一通り読んで現地に向かったわけです。そうしたら資料の中で見たフリーダと私が出会ったフリーダは全然違っていました。
というのは、写真には撮った人の“感じ方”が如実に表れるものなんです。
同じものを撮っても、撮る人によって全く違うものになる。ある本ではコルセットが肉の塊のように撮られていて、女性アーティストってこういうふうに思われているんだな、と残念に思いました。女性が何か表現するとときにスキャンダルだけが強調されて、それだけでイメージが作られることがある。とくにフリーダは恋愛沙汰が多い人でしたから、肉欲の塊のように撮られているんです。