レクサスが「食」を通して表現した、日本の“おもてなし”とイノベーション【日本の編集力 vol.1】前編
にも選ばれた米田肇シェフだ。米田氏の言葉を借りるなら、今回のインスタレーションは“インスタレーション・ガストロノミー”という新しいジャンルを開拓したと言えるだろう。
まず、フィリップ・ニグロ氏に、どのように今回の空間デザインを完成させていったのかについて聞いた。
「食にしても建築にしても、私にとって日本での体験は感情を揺さぶられるものです」とニグロ氏。彼の作り出した空間は、先進的でモダンなスタイルと、どこか包み込むような優しさとの調和を感じさせる。「今回の“Senses”というテーマは非常に難しいと思ったのですが、レクサスやフードデザイナーの米田氏と話し合いを重ねるうちに、自分にとって“Senses"は五感であり、それを抽象的に今回の空間デザインコンセプトに落とし込もうと試みました」。その末に導きだしたコンセプトが“Inside-Out”だったという。
まさに、伏見大社稲荷の連なる朱色の鳥居をはじめ、彼が京都やその他日本の地で感じたことが、今回の空間デザインに大きく影響している。
会場の外壁や回廊は、ずらっと連ねられた何十本もの木の柱でできており、どこか神秘性や居心地の良さを感じさせるような空間だ。