2015年12月16日 19:00
日本最高峰のジュエリー職人・首藤治「職人は心を育てることが技術の向上になると信じている」【INTERVIEW】
ただ、家業の都合もあり日々猛然と働くうちに、夢から遠のいていました。20歳になったときに「やはり美術の仕事に就きたい、自分の作りたいものを作れる道に進むしかない」と決意し、金属装身具制作の仕事に就きました。電話帳をめくっては電話をかけ、ようやく師となる岡村光也氏に出会えた。どうしてもここで働きたいとお願いして採用されました。鉛筆を削るテストなんかもありましたね(笑)。
ー美術を一時は離れ、再び美術に立ち返った首藤さんがジュエリーに魅了されたのは何故でしょう?
やはりジュエリーしかないと感じたのは、師匠である岡村氏の仕事ぶりや作品を見た時です。
ー師との出会い、貴金属装身具制作の仕事は現在に大きな影響をもたらしているのですね。では、首藤さんの考えるジュエリーとは?
流行に押されて同じようなものが大量生産され消費されてゆく、ジュエリーというのはそのような商業的なものではないと思っています。
大切なのは身につける人の「その人らしさ」を表現すること。師である岡村氏から学んだことは「最後に笑顔になることをイメージしてつくる」という、作品に思いを込める大切さです。ジュエリーには、その人らしさを発揮させる力があると学びました。