くらし情報『若き写真家・石川竜一、木村伊兵衛写真賞を受賞した代表作の続編【NADiffオススメBOOK】』

2016年10月20日 21:00

若き写真家・石川竜一、木村伊兵衛写真賞を受賞した代表作の続編【NADiffオススメBOOK】

しかしそこには、人間の「生」本来の強烈さがある。あとがきにはこう書かれる。「たくさんの情報が錯綜する中、欲だけが膨らみ、僕らはいま、僕ら自身をも消費してしまおうとしている。本当に必要なのは、お金そのものでも、経済システムそのものでもない。存在の証明であり、それを共有するための媒体やシステムだ」。経験や、常識によって作られた「らしさ」という先入観をそぎ落とし、ただ目の前のものを見つめる石川は、写っているものの存在をむき出しにする。それは、どこを開いても生々しくて、私たちにそれを「沖縄らしい写真」として消費させてくれない。『okinawan portraits 2010-2012』のあとがきにて、「本当はただ、その人と、その場所で、その時にしかない、写真との出会い。
それだけだ。そんな中で写真はいつも話しかけてきてくれる。「お前が探しているのはこれじゃないのか」と。しかし、それも断定はできないのだ。多分、永遠に。」と書いていたように、「okinawan portraits」は途切れることがない。その人と、その場所で、その時にしかあり得なかった出会い。そうした偶然は、死ぬまで、毎日続いていく。写真は、そうした偶然の結果であることを思い出す。

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