「ビジネスとクリエーション、葛藤と戦いながら“継続”することでブランドは成長する」ヨシオクボデザイナー久保嘉男の哲学――前編【INTERVIEW】
しいて言うなら、ロデオに乗ったカウボーイをベースにテキスタイルを造り、服を着るのではなく“持つ”ことを意識してデザインしました。当たり前というものに常に疑問を持ち、突っかかっていくタイプなもので。誰もまだ見たことのないもの、作ったことのないものを作るというのが僕のデザインの基盤。毎シーズン、テーマを設けることや何かからインスパイアされること、服を“着る”ことさえ常套句のようで、違うことをしようと思いました。――ミラノでショーを行うということで、意識した点などはありますか?コレクションピースは既に出来上がっていたので、ないですね。ミラノで開催することが決まったのも1ヶ月程前のことです。インターネットやSNSがこれだけ主流な現代、瞬時に世の中に広がっていくので、ミラノだから、東京だからと発表の場に昔ほどの大した差異はないと考えています。球を投げる先さえ間違わなければ、コレクションの場所自体に特別こだわりはないです。
ただ、やはりファッション文化が根付いているヨーロッパで行う事で東京とは違った事が生まれる可能性はありますし、いつか一度は海外で、と考えてました。こんなにスムーズに事が運ぶとは思ってませんでしたし、ましてやその地がミラノだとは、一度も想像したことがなかったですね。