くらし情報『あけずば織「染織は、人と自然の共同作業」沖縄で上原美智子さんに会いに。--後編【ENcounter vol.3】』

2017年2月12日 20:30

あけずば織「染織は、人と自然の共同作業」沖縄で上原美智子さんに会いに。--後編【ENcounter vol.3】

自然と共感することで生まれてくるものなんだと感じる」と話してくれた。琉球舞踊の唄の中で、薄い衣をとんぼの羽にたとえたように、古に生きた人々も美しいものを自然の中にある美しいものごと重ねあわせていたことだろう。上原さんは染織を「相手があっての仕事」と何度も口にしていた。「糸が持っている力に、どれだけ自分が共感して引き出すことが出来るか。人と自然の一種の共同作業だ」と。「自分が蚕を吐き出せるわけでもなければ、染料になる色合いを生み出すわけでもない。そう考えるとアートだなんだっていうものより、もっと素材の持っている力、つまり自然の持っている力に関わっていくのが自分の仕事だと思っています。“どれだけ美しいものを作れるか”ただそれだけ。」と優しく丁寧な口調で語る。
沖縄で生まれ育った感性や、コンセプトよりもまず素材感を引き出してゆく日本的な思想、はたまたこれまでの人生の中で触れてきたモダンアートや、クラシック音楽にモダンジャズ…。「ありとあらゆるものが一度“自分”というフィルターを通過して、私の場合“染織”という形で表現されていく。私という存在は、一種のろ過紙のようなものなんです」と続けた。自然が持ちあわせている“美しさ”に愚直に向き合い続けることで、ゆっくりとベールを剥がすようにして行き着く“美しさ”を見いだす眼差しと、その“美しさ”を誰しもが見える形へと変えていく叡智を、この3gのストールを前に感じた。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.