四川オペラの「変面」から着想。匠の技による精緻を極めたルイ・ヴィトンのウォッチメイキング
ホワイトゴールドの細い金線で区切った白、赤、黒のクロワゾネエナメルで仕上げられたこの面は、エナメル細工の名匠アニタ・ポルシェの手による完璧な仕上がりに。扇には、金属の表面を削ってできた窪みに顔料を流し込んで焼成するシャンルベエナメル技法により、驚くべき深みが生れています。ダイアルとリューズのエナメル加工は、完成までに実に7日間を要しました。
©Piotr Stoklosa
貴金属に刻まれたディテールは、著名なスイス人彫金師ディック・スティーンマンが約2週間かけて完成させたもの。これにより、「タンブール オペラ オートマタ」に比類なきレベルのレリーフ効果が生れています。ピンクゴールドのドラゴンは、細かいディテール──ルビーの鋭い目、エングレービングとサンドブラストによる鱗などにいたるまで、その特徴が表情豊かに表現されています。それゆえに、変面師の面からドラゴンが文字通り飛び出し、口を開けて時刻を表示しているように見えるのです。ドラゴンの頭を模したオートマタのプッシュボタン、巻き上げリューズ、シャンルベエナメルの扇、いずれの装飾も、すべて手作業で作られています。
最後に、洗練と技術を極限まで高めるために、ルイ・ヴィトンは、ムーブメントの裏側に変面の形状を再現し、ショットブラスト仕上げと完璧なミラーポリッシュを対比させ、わずかな欠点もなく仕上げました。