くらし情報『世界遺産・富岡製糸場をめぐる旅。未来へ継承するべき理由に迫る【後編】』

世界遺産・富岡製糸場をめぐる旅。未来へ継承するべき理由に迫る【後編】

トラス構造という建築方法で造られた繰糸場。採光のための多くのガラス窓や屋根の上には蒸気抜きの越屋根が取り付けられた

トラス構造という建築方法で造られた繰糸場。採光のための多くのガラス窓や屋根の上には蒸気抜きの越屋根が取り付けられた

フランス式の繰糸器300釜が並ぶ世界最大規模の製糸工場

繭から生糸を巻き取る繰糸場には、フランス式の繰糸器300釜が設置される。当時、世界最大規模の製糸工場だったそうだ。

富岡市シルクブランド係・長谷川直純さんは「小屋組みは、トラス構造といい従来の日本にはない建築工法です。この工法は、建物内に柱を据える必要がありません。中央に柱のない広い空間を作れます。ですから新しい機械に替えるのも取り付けやすかったでしょうね。
だからこそ昭和62年の操業停止まで当時の建物を残すことができたとも言われています。だからこそ世界遺産にも認められたんです」と教えてくれた。

寄宿舎も病院もあり、能力給制だった画期的な職場</B>

製糸場建設とともに進めたのは、400名もの技術伝習工女を集めることだった。各府県に人数を割り当てて募集し、全国から15~25歳の娘たち(主に士族の娘だった)が富岡にやってきた。場内は、彼女たちが暮らす寄宿舎はもちろん、医師が常駐する診察所まであり、1日3食の食事つきで能力に応じて給料が支払われるなど、全てにおいて画期的な環境であった。

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