洋服が日本の官能文化を破壊した--龍多美子2/2【INTERVIEW】
それはなぜかというと、和装が洋装に変わったから。
着物って実はすごい衣装で、どこからでも手が入るんです。身八つ口(=身頃の脇のあき)からもそうですし、めくれば(当時は)ショーツを履いてないわけですし。今の世の中では考えられないような官能の世界が広がっていたと思いますよ。
私たちはそうした民族的DNAを持っているはずなのに、それを全部ないことにして、セクシーと言えば、やれ黒い下着だのやれガーターベルトだの……という話になっていることに違和感を覚えます。「本当にそれだけが官能なの?」と。私は、そういう歴史的背景も心に留めつつ、自分なりの女性らしさや官能の表現を見付けることはとても大切だと思うんです。
――龍さんはオリジナルの下着を手掛けていますが、開発の際にも、日本の歴史や文化を意識してデザイン・開発なさいますか?
私は、日本人女性にとって一番美しく、無理のない姿勢をブラジャーで再現したいと思っているんです。
日本人の身体の支点って、男性は丹田(おへその下辺り)、女性は胸の下なんです。その昔、日本人女性たちが着物を着ていた頃、帯で支点を支えた後、衿を抜くことによって、姿勢がぐっと起きていました。