「シーボルトの日本博物館」が東京&長崎で - 所蔵コレクションから漆工や花鳥図の衝立など
「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」展が東京都江戸東京博物館で開催。会期は2016年9月13日(火)から11月6日(日)まで。
この展示は江戸時代後期に医師として来日したシーボルトのコレクションを紹介するもの。シーボルトは、日本での2度の滞在で、自然や生活文化に関わる膨大な資料を収集し、ヨーロッパに日本文化を伝えた人物だ。この資料をもとにした彼の文献や展示会は、西洋におけるジャポニズムといった日本趣味の先駆けともいえる。
今回は、シーボルトの末裔が所蔵する彼の資料から、約300点を精選した。各都市で彼が行った展覧会に関わる史料や、自身の記述をもとに、「シーボルトが描いた異文化としての日本」を紹介する。1番の見所は、彼が亡くなる直前にミュンヘンで行った「最後の日本展示」を、長男アレクサンダーのリストをもとに再現するコーナーだ。
この最後の展示からは《南天蒔絵脚付杯》などが出展し、漆工芸に代表される日本伝統の手わざの繊細さや、シンプルなデザインの中に宿る美しさを味わうことができる。
彼が日本を訪れた江戸時代後期は、明治維新を目前に、日本人の暮らしが大きく変化し始めた時期。伝統的で閉鎖的な文化に全く新しい価値観が混ざり合うこの特殊な時代は、現代の日本人にとっても興味深いものとして映るだろう。