2021年9月10日 10:40
企画展「はじめての古美術鑑賞 ―人をえがく―」根津美術館で、時代ごとに変化してきた“人物画”に着目
たとえば、室町時代の「飼馬図」には、中国でよく描かれた、馬の世話をする異国の人びとを描写。繊細な線と淡彩を駆使した同作は賢江祥啓の代表作であり、祥啓が中国画から学んだ成果が存分に発揮されているのがうかがえる。
また、江戸時代に描かれた「風俗図」には、中幅に禿を従えた遊女、向かって右にかぶき者、左に若衆が生き生きと描かれている。金泥と濃彩を用いた衣装や、金切箔、砂子を多用した拝啓装飾など、桃山時代の遺風を継ぐ表現にも注目だ。
西洋からの影響が見られる近代以降の人物画も
さらに、近代以降の人物画も登場。橋本雅邦が臨済宗の開祖・臨済義玄を描いた「臨済一喝」は、狩野派の筆法をベースに、西洋画から学んだ繊細な陰影による立体表現が駆使されている。また、振袖の少女とじゃれつく子犬を描いた堂本印象の「手毬図」は、円山四条派の伝統を受け継ぎつつも、鮮やかな色使いを駆使することで軽快な印象を生み出している。
朝鮮陶磁&茶の湯に関する展示も同時開催
加えて、根津美術館では他の展示も開催。
朝鮮陶磁を紹介する「陶片から学ぶ ―朝鮮陶磁編―」や、秋に使い納めを迎える茶や夏の道具の名残を惜しみ、寂びた茶道具約20件を紹介する「残茶 ―秋惜しむ―」