2022年10月9日 11:29
長い人生の中の「ふと〜」と思った瞬間からつながる場所に、物語がある
それは、心の奥の弦を弾くような、そんな感覚です。「ふと思い出す」「ふと涙が出る」「ふと悲しくなる」といった、予期しない、脈絡もなく起こる「ふと〜」という様。
自分でもなぜそうなるのかわからないこの「ふと〜」という心の動きは、とても大切なものです。
その心の動きこそ、その人の感受性であり、感性となり、人生という物語を語るのではないかと。
私たちは、実に忙しい現実の日々を送っています。世界の情勢も予断を許さない。
時間に追われるように過ごしている生活の中のエアポケットのようなこの「ふと〜」という瞬間は、私たちを大切な場所につなぎとめてくれるような感があるのです。
論理性もない、何の根拠があるわけでもない、「ふと」何かを思い出し、「ふと」感情が動くという『現象』は、それぞれの人生の物語の『どこか』『何か』に紐づいているものです。
それが悲しみであろうと、懐かしさであろうと、理由など分からなくても、自分の物語を思い出させる小さなトリガーとなる。
そこで心の中で思いをめぐらせるのは、感性を育む素敵な時間です。『自分』を感じる瞬間なのです。
少し大袈裟な言い方になりますが、人生は現実目標を達成するためにあるわけではない、と私は考えます。