桜花爛漫の季節 何故、桜はこんなに人の心をとらえるのか
明治の小説家、梶井基次郎は、その短編小説で、「桜の木の下には死体が埋っている」。そんな表現さえしています。
当方、暗闇で、夜桜の妖艶な美しさを見ると、その表現を思い出すことがあります。
桜は咲く時よりも「散り際が美しい」とよく言います。かつての武士は、好んでその表現を使ったようですね。
当方は伊豆の山中で、咲き競った満開の山桜が一陣の風に 右から左へハラハラと舞い散って行く光景を、暫く見つめていた事を思い出しますが、それは、何とも例えようがない究極の美しさでありました。
桜は国花、国の花です。この季節、まだコロナ禍ではありますが、1人1人が感染に注意しつつ、大いに桜花を愛(め)でて、日本人の喜びや楽しみを共有したいと願っております。
<2021年3月>
フリーアナウンサー押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2021年現在、アナウンサー生活63年。