親子で演劇を観に行こう! 範宇遊泳・山本卓卓さん & 坂本ももさんに聞いた、観劇の楽しみ方
4歳のお子さんを育てる夫婦でもある2人は、子育てを通じて創作にも大きな変化があったと振り返る。
「社会的存在としての演劇、つまり子どもが観られる作品なのかという視点が新たに加わりました。もともと演劇には「未就学児不可」以外のレイティング(鑑賞できる年齢制限)があまりなく、曖昧だったものをはっきりさせていこうと決めました。暴力描写、性描写などを明示して、観客が作品を選ぶ基準にできるということです」(山本)
「出産して演劇を続けることのしんどさを実感し、創作現場にも変化がありました。稽古は基本夕方まで、子連れOKなど、私に限らず子をもつ演劇人が働きやすいように改善しています。育児と演劇は両立できるはずなので、これまでは業界がサボっていただけだなと思いました」(坂本)
『二分間の冒険』撮影:田中亜紀
演劇体験は思い出が
どんどん熟成されていく
様々な困難さから、出産を機に演劇から離れた女性は多い。しあし現代の価値観ではそれが常識であってはいけないと山本さん。
「演劇は多様性を考える芸術だったはずです。アーティストが家庭をつくると『落ち着いちゃったな』と揶揄されたり、子どもをもつ女性が潜在的にお荷物扱いされてしまうような
演劇界の常識にある潔癖主義は、多様性を排他する傾向があると感じていました。