富田林署脱走事件で知りたい「警察検挙率」秘密のからくり
“警察力”は全般的に下がっていると感じます」(寺澤さん)
そのような状況下で、平成30年版の『警察白書』が発表された。そこには都道府県別の事件検挙率なども掲載されている。寺澤さんと元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平さんに、数値の裏を読み解いてもらった。
事件検挙率は捜査対象となっている事件の数(認知件数)のうち、検挙された件数の割合を算出している。
「検挙率というのは、警察の通信簿のようなもの。上層部はだいぶ気にしています」(小川さん)
そういった意味で、犯罪逮捕へのモチベーションにもなりえる数値なのだ。
「認知件数は、万引や自転車泥棒などの軽犯罪も含まれます。時間も人員も負担の大きい重大犯罪が少なく、手厚いパトロールで軽犯罪の捜査にも力を入れられると、検挙率が上がる傾向があります」
この数年は、上位に秋田県、最下位には大阪府がランキングされることが多い。
「大阪に関しては、検挙率が低いことが組織の中で常態化していて、当たり前に感じられていることが問題です。大阪以外にも検挙率の下位に、東京や埼玉、千葉、愛知などの大都市圏がくるのは、やはり犯罪件数が圧倒的に多いためです」(寺澤さん)