富田林署脱走事件で知りたい「警察検挙率」秘密のからくり
事件検挙率は警察力の目安になるが、警察の捜査能力がそれだけで測れるわけではないという。
「人口が少なく、大きな事件のない地方の警察で3年勤務するより、新宿署で1年勤務するほうが、経験が積めます。私自身も、10年選手のときに100件以上の逮捕をしていましたが、地方の警察に勤務していた同級生のなかには逮捕手続書を書いたことがない者もいました」(小川さん)
検挙率を高めるためには、分母である認知件数を減らす努力、すなわち予防することが求められる。
「警察には定員があるので、人員の中でできることは限られています。そのため、急激に検挙の数を上げることは難しい。そこで検挙率を上げるには、分母である認知件数を減らす、つまり犯罪抑止することが大事です」
だが、中には間違った方向で検挙率が“操作”されることもある。’14年には、大阪府警が検挙率ワーストを脱するために、認知件数を5年間で8万件も計上しなかったことが大きなニュースになった。
「警察庁のキャリア官僚はテスト好きな人たち。
数字に敏感で、検挙率を上げようと頑張ります。それが安全を守ることにつながればいいのですが、実際には大きな事件よりも、交通違反が起きやすいところで待ち構えていたり、職務質問に力を入れて自転車泥棒で点数稼ぎする署もあります。